Windows Virtual Desktop #51 Windows Virtual Desktop エクスペリエンス見積もりツール 前編

この記事のWVDは”Windows Virtual Desktop Spring 2020 Release”が対象です。

”Windows Virtual Desktop エクスペリエンス見積もりツール” 、少し前からあることは知っていたのですが詳しくみていこうと思います。

このツールの公開は 2020年8月のようです。 Microsoft Docs の Windows Virtual Desktop の新機能のページ (URL はこちら) にツールのリリースが案内されています。

ホームページにアクセスすると右下に各リージョンへのラウンドトリップ時間がリスト表示されます。

拡大すると以下。 Japan East は 50 ms であることがわかります。 普段テストして把握しているよりも遅延が大きいなと思いました。 私の自宅(東京都内)からは20 ~ 30 ms 程度というのが実績ベースです。

以下のスクリーンショットは実際の Windows Virtual Desktop に接続した際の接続情報です。 上記の”Windows Virtual Desktop エクスペリエンス見積もりツール”のページを開くのとほぼ同じ時間帯での情報です。 ラウンドトリップ時間は 19 ミリ秒です。  ツールでは 50 ミリ秒、実際には 19 ミリ秒と大きな差があります。

色々調べていると、”Windows Virtual Desktop エクスペリエンス見積もりツール”は Web ブラウザからページを更新するたびにラウンドトリップ時間が変動することがわかります。

5回ほど Web ブラウザで更新した結果が以下。 更新して、スクリーンショットを張り付けてを繰り返していますがこの間数分程度での採取です。

最初の結果も含めて6回分の試行の結果を表にします。 一番最初の 50 ms 以外は 30 ~ 40 ms のようです。 実際の接続での 19 ms とは依然として差があります。 

Japan EastJapan West
50 ms58 ms
41 ms33 ms
31 ms39 ms
37 ms29 ms
30 ms37 ms
39 ms31 ms

一番の気づきとしては Japan East と Japan West でラウンドトリップ時間に大きな違いがなく、それどころか 2回に1回はJapan West の方が応答が速いことです。 これは Windows Virtual Desktop を利用する上では非常に大きな話です。 Windows Virtual Desktop では”近い” 管理コントロールプレーンに自動接続されると聞いているからです。 上記のラウンドトリップ時間をもとに制御されるとある時は Japan East 、次の接続は Japan West に接続されるということです。 (上記のラウンドトリップ時間で制御されているかは現時点では不明)

東京に住んでいる私は Azure の Japan East と物理的に近く、その結果ラウンドトリップ時間で制御されても通常は Japan East の WVD Gateway を経由し Japan East 上の仮想マシンに接続していると考えていました。

以下のイメージです。

しかし、ラウンドトリップ時間をもとに接続先を制御し、かつ、Japan East と Japan West とでラウンドトリップ時間に差が無いとすると、以下の経路で Windows Virtual Desktop を利用している可能性があります。 

まあ、Microsoft 視点で考えると、その断面では上記の経路の方が応答が速いからそうしているだけで何も問題ないとは言えます。 パブリッククラウドとは良い意味で表面上使えることが大事で裏でどう動くかを気にしても仕方が無いということもあります。 それを把握したい、細かく制御したいならオンプレミスで個別構築するしかないと。

とは言いつつ、直感的に東京にいる私のクライアントからは Japan East の WVD GW を経由する方が応答は速いはずなので、 本当に接続先が Japan East と Japan West にコロコロ変わるのかどうか、近いうちに詳細テストしてみようと思います。まあ、どうやってテストするか、どうやって接続先を判別するか、色々課題はありますが。

今回の記事は以上です。