Windows Virtual Desktop #79 Thin Client のサポート

この記事のWVDは”Windows Virtual Desktop Spring 2020 Release”が対象です。

https://docs.microsoft.com/en-us/azure/virtual-desktop/linux-overview

Windows Virtual Desktop、いつの間にか各社の Thin Client からも利用出来るようになっていたことがわかりました。 単純に自分の勉強不足だったのですが、各社の独自の OS の Thin Client からは Windows Virtual Desktop は利用出来ないものと思い込んでいました。 先日、別件で Microsoft Docs を読んでいたら Thin Client という Section を見つけ今回の気づきにいたっています。

Microsoft Docs を見る限り以下の6社の Thin client が Windows Virtual Desktop をサポートしているようです。

  1. 10ZiG
  2. Dell
  3. HP
  4. IGEL
  5. NComputing
  6. Stratodesk

Dell と HP 以外の4社は私は使ったことはありません。 Dell も HP も Windows IoT ベースから自社OSベース、Wyse ベースなど色々あるので会社単位での経験というよりはどの Thin Client OS を利用したことがあるかがポイントになるとは思います。 ちなみに自宅にはオークションで入手した Wyse と eLux の端末がありますがほぼ使うことはないです。 古いので最新の Connection Brocker に接続出来なかったり、性能が出ないので快適でなかったり。

Windows Virtual Desktop の Thin Client を考えるとき、ポイントは2つあると考えています。 1つ目は機能の充実度です。 具体的には Windows ベースの端末では Teams 最適化や Zoom 最適化、カメラ等のリダイレクト、スクリーンショットの禁止など最新の機能が Windows 向けにいち早く提供されている現状があります。 COV-19 を起因としてのリモート会議への対応を考えると無視できない重要な要因になっています。 この点では Windows OS の端末が絶対的に優位となっています。 2つ目のポイントは運用性です。 先に言ってしまうと Windows IoT ベースの Thin Client は運用性で良いところが全くありません。一元的に管理するには別途管理ツールの環境を整備する必要があります。 一方、各社の Thin Client はここに強みがあります。ここでいう運用とは Thin Client OS の設定や更新、アプリの一元管理です。 Windows IoT ベースをリモートから集中管理するのは骨が折れますが各社の Thin Client は至極簡単なツールや実行環境を提供しています。 そういう意味ではこの2つのポイントを満たす Thin Client を私はまだ知らないということになります。

個人的にもっとも期待および有望視していたのが Chromebook です。 Chromebook は管理性に非常に優れます。また、コストパフォーマンスも良いです。 米国では大分前から教育環境では一般化していましたが日本でもGIGA スクールで大躍進です。この結果、学校以外の一般用途でも Chromebook が選択肢となりつつあるように思えます。 もともと Chromebook のアーキテクチャは パソコンベースなので、量産性のメリットも受けつつ、昨今の盛り上がりもあり、コスト面でもかなり競争力が高まっています。 ただ、今現在、Windows ベースの端末に比べてカメラが利用出来ない、Teams 最適化も利用出来ない、日本語入力に課題がある、など業務利用に耐えうる状態にはなっていません(この辺の話はこちら)。  そして Chromebook は Google Workspace と親和性が良い、良すぎるのが Windows Virtual Desktop の利用には欠点となっているとも考えています。 Windows Virtual Desktop を利用する際、 Microsoft 365 E3/E5 などを利用することで豊富な機能をコストパフォーマンス良く利用出来ますが、ここに Google Workspace も併用となるとなかなかコストパフォーマンスをあげ辛くなるというジレンマに陥ってしまうということです。

最後に6社の Thin Client の特徴を簡単なマトリックスにまとめてみました。 日本だと実質 Dell か HP かになると思います。 両社とも管理面では相応の機能を持っていますし、端末のラインナップも豊富です。 ただ、OSが Windows ベースではない点だけが気になります。 あと2年もすると現場で必要となる機能も Linux クライアントに対応しているとは予測しますが今現時点だと上記のリモート会議やカメラ対応でどうしても Windows ベースが良く見えてしまいます。

Item10ZiGDellHPIGELNComputingStratodesk
OSLinux base/
Win10 IoT/
Zero
ThinOS
※Wyse
ThinPro OS
※Linux base
IGEL OS
※Linux base
Linux baseNoTouch OS
※Linux base
集中管理機能利用可能利用可能利用可能利用可能利用可能利用可能
日本の代理店不明DELLHP不明
特徴h.264/265 codec optionpowered by Raspberry PiOSのみの提供

あとは参考までに各社の端末の写真も紹介しておきます。

10ZiG

3つのOS(NOS/PeakOS(Linux)/Windows 10 IoT) があるのですが、Windows Virtual Desktop への対応は Windows 10 IoT のみとなっています。

DELL

Wyse Thin Client として Desktop / All-in-Ones/Mobile と豊富なラインナップが提供されています。

https://www.delltechnologies.com/en-us/wyse/index.htm

HP

以下のスクリーンショットは3機種の写真がありますが、 Support Devices としては 18 機種あります。

https://h20195.www2.hp.com/v2/GetDocument.aspx?docname=c07051097

IGEL

Intel ATOM ベースと AMD Ryzen ベースの合計3機種のラインナップが提供されています。

https://www.igel.com/igel-solution-family/endpoints-and-certified-hardware/

NComputing

Raspberry PI ベースの3機種のラインナップが提供されています。

https://www.ncomputing.com/microsoft

Stratodesk

NoTouch OS という Thin Client OS のみを提供しているようです。

https://www.stratodesk.com/kb/Microsoft_Windows_Virtual_Desktop_(WVD)

以上