Volt MX #6 Volt MX を解説する

今回はVolt MXを解説していきます。 Volt MXはモバイルデバイスに強みを持つ開発ツールとアプリケーションの実行環境を提供するサービスでローコードツールに属しています。 一言でまとめてしまうとあっさりし過ぎてわかったようでわかりませんのでどんな課題を解決できるのか、その課題解決のためにどんな機能が提供されているのかなどを紹介していきます。 

情報は基本的には開発元となるHCL SoftwareやHCL Japanの公開情報を整理しています。 実際の利用においてはVolt MXの提供元(販社や代理店といった方がイメージがつきやすいか)によりサービス仕様は定義されます。制限や制約、付加価値など差異がある可能性があることはご了承ください。

Volt MXで出来ること

私なりに理解しているVolt MX で出来ることを図にしてみました。

  • Irisは開発ツール。Visual StudioなどのIDEのイメージ。 豊富なウィジェッドが用意されておりGUIで画面の開発やバックエンドとの接続までほとんどコードを書かずにアプリを作成可能。 シングルコード(Java Script)でiPhoneやAndroidスマートフォンのアプリを開発可能。
  • Foundryはバックエンドとの連携行う様々な機能をサービス提供。 モバイルデバイス上のアプリとバックエンドAPIを中継するAPIを提供したり、様々なデータソースと接続したり、その際に必要となるID管理など。

私が書いた図はかなり抽象化しており記載を省いているものも沢山あります。 詳細は公式サイトの情報を確認してください。

以下はHCL Japanの製品紹介のホームページ。 90秒のYoutube動画だったり参考価格、トライアルの申し込みなど必要な情報は大体あります。

あとはやはりマニュアルです。 なんだかんだ言っても公式サイトの情報が一番信頼できます。

以下はVolt MX 9.5のマニュアルのトップページです。

Volt MXのIrisやFoundryの概要を知る場合は上記公式ドキュメントの中でも以下あたりがお勧めです。

Volt MXが解決する課題

Volt MXで解決できる課題を5つほどあげてみます。  一番目、二番目は従来だとiOSとAndroidのネイティブの知識(OS、言語、開発ツール・フレームワーク・ライブラリ)を持つ技術者が必要でした。 技術者が分かれる場合は共通機能の策定などで時間もかかりますしリリース後にトラブル発生した場合も同様です。 Volt MXではプラットフォームとしてマルチデバイスをサポートしその開発をJava Script1本化することでネィティブアプリ開発の敷居を下げることが可能です。

あと何気に大きいのは5番目に書いたセキュリティです。 BtoBでもBtoCでもEnterpriseレベルのセキュリティが求められることは一般化しています。 登場する技術要素が多くまたその進化・変化スピードが激しいモバイイルアプリでは一定のレベルのセキュリティを保つには相応の人的体制を維持し定期的な監査や検査、その結果への対処を実行し続ける必要があります。 Volt MXでは多くのセキュリティ対策をVolt MX側にオフロード出来ることで開発者はアプリ開発に専念できます。

よくある課題AS-ISTO-BE
マルチデバイスへの対応iOSとAndroidの技術者が必要
様々なハードウェア、OSパターンの事前検証が必要
Java Scriptの技術者のみ
Volt MXがマルチデバイスをサポート
開発スピード様々な開発ツール、ライブラリを選定し都度設計、開発マルチデバイス対応の豊富なウィジェットやバックエンドとの連携コネクタを利用し最低限のコードで開発(ローコード開発)
可視化デバイスやアプリごとに利用状況を可視化するツールを選定し都度設計、開発Volt MXでダッシュボードを提供しデバイスやアプリの使用状況を可視化および分析
DevOps様々なDevOpsツールを選定し環境構築Volt MXが自動テスト機能を提供
セキュリティ各レイヤごと(デバイスアプリ、データセンタ、API、などなど)にセキュリティの確保の検討と実行
デバイスでもツールの選定と導入、運用が必要
Enterpriseレベルのセキュリティ認証取得すみ
デバイスでもRoot化検知や難読化など標準提供

Volt MXの業界地位

Volt MXの業界地位はどうでしょうか。 調査会社によるコメントがHCL Japanのホームページに紹介されています。ローコードの開発プラットフォームとして評価を受けています。 ただ、レポートの中身とかには言及が無いのでここでの紹介はここまでとします。 

 ローコードというカテゴリですと最近は沢山のソリューションが出ています。出過ぎていて評価することが大変なくらいなのと私自身が他ツールを使ったことないので(KintoneだったりGoogle AppSheetだったりPowerAppsだったり、他にもたくさん)他と比べてどうこうという有用な情報は私は持っていません。

まとめ

Volt MXで出来ることを簡単にまとめてみました。 ポイントをまとめると以下。

  • Volt MXはローコード開発のプラットフォームである
  • マルチデバイス対応かつシングルコードでの開発
  • Enterprise利用を前提としたID管理、外部システム連携の機能を備えている
  • Enterprise利用を前提としたセキュリティの仕組みを備えている

他のローコードツールの知見はあまり無いのですが”Enterprise”向けというのは1つのVolt MXならではの特長だと思います。 セキュリティもそうですし、100万デバイスまでの対応、稼働後に各種状況を可視化できる機能など。 探してみたのですが同様のコンセプトのローコードプラットフォームは中々見つからずでした(探し方が悪い可能性は多分にあり)。

またこのようなローコード開発ツールが一番ハマるのは内製なんだと思います。 DXというキーワードはあまり好きでは無いのですがお客様が抱える問題、課題解決をお客様自身でこのようなスピード感ある開発を簡単(比較的に)に行えるプラットフォームで自分たち自身で行っていくと。 Volt MXはこのようなニーズに実際に応え始めている状況です。

 従来の仕事の仕方では開発ベンダーがシステム開発を受託し要員を集めて仕様を固めて定められた期間の期間の中で開発していくわけですがこのやり方だとVolt MXの良さが全く出せない可能性があるわけです。 お客様からすると開発作業自体を委託するのでその中でどんなプラットフォーム使っていようが結果が出ればなんでも良いですし、開発ベンダーも人の集まりやすさが先に来ることもあったりで慣れた技術、これまでの経験の蓄積でPJ管理できる開発手法を選んでも良いわけで。

以上