この記事は Alibaba Cloud の日本サイト の環境(ドキュメントやアカウント、そのアカウントでの検証結果)に基づいて記載しています。 日本サイトと国際サイトでは各プロダクトごとに提供機能が一部異なることがあります(そのほとんどは国際サイトの方が日本サイトよりも多機能になっている)。記事の内容は適宜最新化する予定です。
「Alibaba Cloudのパブリックトラフィックを定額課金に出来ないか?」という声をよく聞きます。 先に答えを言うと可能です。条件付きですが。
パブリッククラウドのメリットの1つに利用した分だけ料金を支払う従量課金という考え方があります。Alibaba CloudでもAWSやAzure、GCP同様にパブリックトラフィックは従量課金です。
従来のOn-premisesのシステムのほとんどは、4-6年程度の使用を前提にハードやネットワーク回線の帯域を前払い(リースやレンタルはあれども prepaid)していました。 従来の考え方にもメリットはあります。例えば計画した予算でシステムを導入、運用し、予定通りに予算を消化できることです。
冒頭の定額化のニーズはこの”計画した予算を計画通りに使いたい”がその理由なのだと考えます。 企業における予算の計画や執行、会計処理、意思決定のプロセスと従量課金の概念(postpaidと変動する課金)にギャップがあり、今はまだ過渡期なのだと思います。
解決策「ECSのスターターパッケージを利用する」
Alibaba Cloud ECSにスターターパッケージという購入プランがあります。このスターターパッケージにはパブリックトラフィックの一定の転送量が付属しているのです。
手軽にAlibaba Cloudのサービスをご利用頂くために「スターターパッケージ」をご用意しております。CPU/メモリ/クラウドディスク/データ転送量が含まれ、すばやく手間なくご購入いただけるECSパッケージです。スターターパッケージでは、Linux と Windows 両方のパブリックイメージが利用可能です。
https://jp.alibabacloud.com/help/faq-detail/42380.htm
”データ転送量が含まれ”とあります。 もうちょっと調べてみましょう。
スターターパッケージでは複数タイプが提供されています。以下東京リージョンにおける価格表になります。 東京リージョンではパブリックトラフィックの課金単価は12.3円/GB(2019/2/12現在)です。例えば100GBのデータ転送量=12.3円×100=1,230円が含まれるSUPER LIGHTの月額課金は1,200円となります。CPU/メモリ/Diskの料金はどこに行ってしまったのか???状態ですね。4TBのデータ転送量=49,200円が含まれるADVANCED PLUSは15,800円とかなりのお得感があります。 それ以前にWindowsライセンス費用が安すぎですが(SUPER LIGHTでいうと500円/月額!)。
パッケージ名 | 設定 | OS | 日本 |
SUPER LIGHT | 1 vCPU,メモリ 1 GB,Ultra クラウドディスク 40 GB,データ転送量 100 GB | Linux | 1,200 円 |
SUPER LIGHT | 1 vCPU,メモリ 1 GB,Ultra クラウドディスク 40 GB,データ転送量 100 GB | Windows | 1,700 円 |
LIGHT | 1 vCPU,メモリ 2 GB,Ultra クラウドディスク 40 GB ,データ転送量 300 GB | Linux | 2,100 円 |
LIGHT | 1 vCPU,メモリ 2 GB,Ultra クラウドディスク 40 GB,データ転送量 300 GB | Windows | 3,000 円 |
STANDARD | 2 vCPU,メモリ 4 GB,Ultra クラウドディスク 60 GB,データ転送量 1 TB | Linux | 4,200 円 |
STANDARD | 2 vCPU,メモリ 4 GB,Ultra クラウドディスク 60 GB,データ転送量 1 TB | Windows | 5,900 円 |
STANDARD PLUS | 2 vCPU,メモリ 8 GB,Ultra クラウドディスク 60 GB,データ転送量 2 TB | Linux | 7,800 円 |
STANDARD PLUS | 2 vCPU,メモリ 8 GB,Ultra クラウドディスク 60 GB,データ転送量 2 TB | Windows | 11,000 円 |
ADVANCED | 4 vCPU,メモリ 8 GB,Ultra クラウドディスク 80 GB,データ転送量 3 TB | Linux | 12,200 円 |
ADVANCED | 4 vCPU,メモリ 8 GB,Ultra クラウドディスク 80 GB,データ転送量 3 TB | Windows | 19,900 円 |
ADVANCED PLUS | 4 vCPU,メモリ 16 GB,Ultra クラウドディスク 80 GB,データ転送量 4 TB | Linux | 15,800 円 |
ADVANCED PLUS | 4 vCPU,メモリ 16 GB,Ultra クラウドディスク 80 GB,データ転送量 4 TB | Windows | 27,100 円 |
ただ、ECS1台1台のパブリックトラフィックが定額化されていても微妙ですよね。使いづらいですよね。 実は、このデータ転送量は共有して利用できるのです。
以下の公式ドキュメントの案内どおりスターターパッケージで付与される転送量パッケージを共有できるということになります。
パッケージ仕様の注意事項及び詳細ルール:(※4)
https://jp.alibabacloud.com/help/faq-detail/42380.htm
ⅱ.パッケージで購入されたインスタンスの他、「同一リージョングループ」内のインスタンス(サブスクリプションで購入の場合)からも使用されます。
スターターパッケージを購入したECSが所属するVPCから出るパブリックトラフィックが共有対象なのですが、SLBなどは対象外だったり、スターターパッケージは既定のVPCにしか所属出来ないなど、条件があります(大分昔にAlibaba Cloudのサポートで確認しました)。 共有の対象を誤認すると大変ですのでスターターパッケージの転送量のシェアを検討する場合は一度サポートチケットから最新の情報を確認してみることをお勧めします。
その他、ECSスターターパッケージの仕様のポイントを紹介しておきます。
- パブリックトラフィックは30Mbpsの制限がある。変更も出来るが、変更すると転送量パッケージの対象外となる
- 転送量は50日間だけ繰り越して使える(携帯・スマホみたいですね)
- 所定の転送量パッケージを超え他場合は、従量課金として課金される(強制的にネットワークが止まることはない)
- スターターパッケージをクーポンでは購入できない
- スターターパッケージは設定変更(アップグレード)出来ない
- サイバーセキュリティの保険付き(LIGHT以上のプラン)
最後に転送量パッケージの使用状況の確認方法を紹介します。
料金・支払い管理からリソースパッケージ管理>リソースパッケージをクリックします。 ECSのスターターパッケージ購入時に付与されたトラフィックパッケージを確認出来ます。 100GBが1/27~3/30までの50日間使えることがわかります。2/27にECSの月額を継続するとここに100GBのトラフィックパッケージが追加されるはずです。
該当するプロダクトの”詳細”をクリックします。以下の2つが対象となっていることがわかります。
- Elastic Compute Service (ECS)
- Elastic IP
Elastic IPとあるので、Elastic IPを購入し、SLBに紐づければSLBもシェア出来そうな気もします。試してみつつサポートにも聞いてみようかと。
以上