この記事は Alibaba Cloud の日本サイト の環境(ドキュメントやアカウント、そのアカウントでの検証結果)に基づいて記載しています。 日本サイトと国際サイトでは各プロダクトごとに提供機能が一部異なることがあります(そのほとんどは国際サイトの方が日本サイトよりも多機能になっている)。記事の内容は適宜最新化する予定です。
全リージョンにECSインスタンスを構築し、ICMP(ping)を使ってLatencyを確認してみます。 Alibaba Cloudのリージョン間通信はインターネット経由(※1)でも高速と聞いていたのですが、本当に遅延も小さく、安定していることを確認できました。
※1 今回の検証ではExpress ConnectやCENは利用せずに、インターネット経由での通信をテストしています。
目次
送信元:日本のISP経由のPCの場合
日本のISP(J:COM)経由でping応答を確認しました。 普通にインターネットを経由して、Alibaba Cloudの19リージョンのECSインスタンスへアクセスします。 ツールはExPingを利用しました。
結果は以下の通り。中国本土との通信はQingdao(青島)を除いて軒並み100msオーバーです。 最短時間と最大時間の幅が結構あるので安定していないと言えます。
送信元:Alibaba Cloudの東京リージョン上のECSインスタンスの場合
次に、Alibaba Cloudの東京リージョン上にWindowsインスタンスを構築し、
そのWindowsインスタンス上にインストールしたExPingからテストします。
東京リージョンについてはVPC内ですが、他のリージョンのECSインスタンスとはインターネットを経由して通信します。
以下が結果です。中国本土の7リージョンとの平均時間は100msを大きく下回っています。 特に最短時間と最大時間の幅が小さく安定していることが注目ポイントですね。
ここであることに気づきます。1ホストに対して3回を1セットでPingを実行しているのですが、9セット目(25/26/27回目)からすべて失敗しています。すべてのリージョンで失敗回数が3回カウントされています。
このとき送信元ホストとリモートデスクトップで正常に操作出来ていること、また、東京リージョンの対象のECSインスタンスとのPingは失敗していません。 どういうことでしょうか?
11セット目まで続けてみます。 状況は変わらず東京リージョン以外のホストと通信できません。
DDoSやその他セキュリティによりブロックされたのか???と確認をすすめたところ、結果、今回のテスト用のECSインスタンスがリリースされていました。ケアレスミスです。
インスタンス作成時、1時間後の自動リリースをスケジュールしており、1時間経過したためリリースされていました。 東京リージョンのECSインスタンスは今回のテスト用とは別に作成していた為通信が継続出来ていました。
比較
以下、日本のISP経由の場合と、Alibaba Cloudの東京リージョン上のECSインスタンスからの応答時間を表にしました。
- 中国本土7リージョンについては通常のインターネット経由よりも非常に優秀な結果(応答時間。加えてMinとMaxの幅がほとんどない点)
- 中国本土以外のリージョンでもMinとMaxの幅がほとんど無い点は特筆すべき点
Region | From ISP | ← | ← | From ECS | ← | ← |
Min (ms) | Max (ms) | Avg (ms) | Min (ms) | Max (ms | Avg (ms) | |
India Mumbai | 150 | 167 | 157 | 158 | 174 | 169 |
Silicon Valley | 131 | 151 | 136 | 104 | 105 | 105 |
Virginia | 184 | 208 | 189 | 166 | 166 | 166 |
Frankfurt | 272 | 321 | 278 | 253 | 253 | 253 |
London | 263 | 279 | 268 | 245 | 245 | 245 |
Dubai | 162 | 204 | 176 | 169 | 169 | 169 |
Jakarta | 111 | 130 | 118 | 212 | 213 | 212 |
Kuala Lumpur | 93 | 241 | 106 | 74 | 74 | 74 |
Sydney | 198 | 261 | 210 | 144 | 144 | 144 |
Singapore | 89 | 109 | 93 | 70 | 77 | 74 |
Hongkong | 62 | 128 | 75 | 52 | 52 | 52 |
Hangzhou | 84 | 148 | 115 | 57 | 60 | 58 |
Shanghai | 92 | 155 | 119 | 36 | 36 | 36 |
Qingdao | 75 | 90 | 81 | 57 | 57 | 57 |
Beijing | 95 | 146 | 121 | 59 | 59 | 59 |
Zhangjiakou | 100 | 168 | 129 | 60 | 60 | 60 |
Hohhot | 110 | 168 | 135 | 62 | 63 | 62 |
Shenzhen | 113 | 181 | 141 | 76 | 79 | 78 |
Tokyo | 22 | 36 | 26 | 3 | 3 | 3 |
まとめ
今回のテスト結果から、Alibaba Cloudのリージョン間通信は通常のインターネット経由よりも速く、また安定していることが確認できました。 ただ、試行回数が少なかったため、幅広い時間帯でより多くのテストを実施する必要はあります。
また今回のテストでは以下の手順を手動で実施しました。
- コンソールからインスタンスを生成
- コンソールでIPアドレスを確認
- 手動でexpingをインストール
- 手動でexpingの定義体を作成
- expingの実行
- 手動でexpingの結果を転記
これは自動化する余地がありそうです。 Aliyun CLIやAPIでインスタンスを生成し、クラウドアシスタントからping実行のシェルを実行し、最後にログをOSSにアップロードする感じでしょうか。IPアドレスの取得も出来そうですかね。 今度作ってみたいと思います。3日間程度行えればそれなりの信頼性のデータとなりそうですね。
なお、このテストにかかる費用はざっくりと1回50円未満です。burstタイプのECSインスタンスを従量課金で1時間利用させていただきました。
以上