この記事のWVDは”Windows Virtual Desktop Fall 2019 Release”が対象です。最新の”Spring 2020 Relase”ではありません。Spring 2020 はこちら
今回はWVD環境のネットワークについてです。
目次
1. 管理プレーン(RD Gateway)の場所
WebブラウザでWVDにアクセスする場合のURLは以下になります。
https://rdweb.wvd.microsoft.com/webclient/index.html
管理プレーンは米国にあります。
こちらDNS名前解決すると以下の通りです。 Aliasesに複数の応答があります。
名前: waws-prod-dm1-053.cloudapp.net Address: 52.173.94.173 Aliases: rdweb.wvd.microsoft.com rdweb-prod-geo.trafficmanager.net mrs-cusr1c001-rdweb-prod.azurewebsites.net waws-prod-dm1-053.sip.azurewebsites.windows.net |
しかし、実際にWVDの仮想デスクトップを操作している時に、上記のIPアドレスとは通信していません。 おそらく、52.172.94.173に接続後、再度最適な接続先にリダイレクトないし負荷分散機能により振り分けされていると思われます。
SSL/TLSなのでパケットキャプチャで確認するのも難しく実際にどこに接続しているか今回は特定は出来ていません(ちょっと時間をかけてキャプチャを順番に見ていけばわかるとは思いますが)。
基本的には手元のPC→管理プレーン→仮想デスクトップとなるはずです。 管理プレーンがプロキシ的な役割で画面転送の通信をすべて中継する動作です。
2. 仮想デスクトップのパブリックIP
WVDのWindows 10 にサインインし、Webブラウザから”確認君”のサイトにアクセスします。 接続元IPアドレスは”13.76.16.92″であることが確認出来ます。
このIPアドレスの物理的な場所はどこでしょうか? 今回初めて使うサイトなのですが以下から確認してみました。
https://www.geolocation.com/ja?ip=13.76.16.92#ipresult
シンガポールのようです。
今回の仮想デスクトップは東日本リージョンにデプロイしていますが、インターネットの出口はシンガポールということでしょうか? 謎が深まります。
3. 仮想デスクトップのプライベート通信
WVDの仮想デスクトップはAzureの東日本リージョンにデプロイしています。また、Azure AD と連携しているActive Directory Domain Service はAlibaba Cloudの東京リージョン上に構成しており、WVDのWindows 10はAlibaba Cloud 上のActive Directoryと通信します。
以下のイメージです。
Azure とAlibaba Cloud はインターネットVPN(IPsec)で接続しています。
WVDのWindows 10からAlibaba Cloud のActive DirectoryサーバへのPingの結果は以下の通りです。 平均4msと実用上問題無いレベルです。
(省略) Reply from 172.24.133.100: bytes=32 time=4ms TTL=126 Reply from 172.24.133.100: bytes=32 time=5ms TTL=126 Reply from 172.24.133.100: bytes=32 time=4ms TTL=126 Reply from 172.24.133.100: bytes=32 time=5ms TTL=126 Ping statistics for 172.24.133.100: Packets: Sent = 60, Received = 60, Lost = 0 (0% loss), Approximate round trip times in milli-seconds: Minimum = 4ms, Maximum = 8ms, Average = 4ms |
4. まとめ
パブリックプレビューなWVDですが、管理プレーンは米国のみにあります。 仮想のWindows 10自体をAzure の東日本リージョンに展開することは可能ですが、通信経路としては以下となり、物理的な距離に起因する遅延の影響があります。
日本の操作端末 → 米国の管理プレーン → 日本のWindwos 10
実際、上記の通信経路の構成でWVDのWindows 10上でYoutubeで動画を見てみました。 音声はところどころ途絶え、フレームレートは感覚として5~15程度でしょうか。 まあ、見れなくはないというレベルでした。
キーボードの入力についてはそこまでストレスは感じませんでした。 OSの操作やアプリケーション起動時の画面描写も比較的スムーズでした。
管理プレーンが日本で提供され次第再度テストしてみたいと思います。その際にはGPU付きの仮想マシンを展開し、Monster Hunter などやってみようかなと。(Monter Hunter を Windows Virtual Desktop で遊んでみた話はこちら)
以上