Alibaba Cloud でRed Hat Enterprise Linux を利用できるのか? その問いに答えるために色々と調べてみました。
結論を先にまとめます。
- マーケットプレイスでのRHEL イメージ提供は国際サイト契約のみ
- 国際サイト契約のマーケットプレイスでは1時間 0.06ドル~の従量課金でRHELを利用可能
- 日本サイト契約ではRed Hat Cloud Access プログラムを利用することでRHELサブスクリプションをBYOL 出来そう(ドキュメントベースの確認のみ)
本題とは外れますが、3年前に取得した認定資格RHCEが今年の11月に期限を迎えてしまう事がこの記事を書く中で思い出しました。 受験料が高いこと、今受験して合格できるか??の2点が悩みとなりそうです。
受験料は5万円と個人負担するには中々の金額です。 また、クラウドのエンジニアにジョブチェンジしてもうすぐ2年になるのですが、RHELを触る機会はめっきり減っています。 RHCEの試験はすべて実技ということもあり、当時現場のSEだった私は特に準備もすることなく合格出来ました。 ただ、今現在まったくRHEL8を触れていない状態であの試験内容をPass出来るとは思えません。試しに1回受けるにも5万円、2回受けたら10万円ということで、更新するべきか否か、まあ11月まで先延ばしすることにします。
目次
1. 調べるきっかけ
きっかけとしては今週あった2つのトピックです。
1.1. 国際アカウントのアナウンス
1つは7月4日に届いた以下のメール。 Alibaba Cloud の国際アカウントの登録メールアドレスに届いたアナウンスです。 RHEL8がAlibaba Cloud でも利用可能になったよ!という話です。
国際アカウントでRed Hat Enterprise Linux は利用出来ることは知っていました。一方、日本サイトでは未提供という認識だったので、国際サイトでは8に対応したんだなぁ、という感じでさらりと流していました。
1.2. Red Hat さんのブログ
もう1つはRed Hat 社のブログです。 こちらも主旨はAlibaba Cloud でRHELの8が利用可能になったよ! ということです。 他にもrootログインのセキュリティの話とAlibaba Cloud ECS のエージェントが既定ではインストールされていないという有用な情報付きでした。
記事中では「国際サイトだけの提供で日本サイトは未提供」という注意書きは特なく、 投稿者の元SBクラウドの森さんがその点を記載していないということで、もしかすると「日本サイトでも利用可能になった」のかと期待が生まれました。(ブログ上のコンソールのスクリーンショットは国際サイトではあったのですが)
というわけで実際に日本サイトでRed Hat Enterprise Linux が利用できるようになったのか実際のコンソールで調べてみることにします。
2. コンソールから確認する
ECS の購入画面で実際に選択肢に Red Hat Enterprise Linux が出てくるか確認してみます。
東京リージョンですが、パブリックイメージにはありません(省略していますがスクロールしても隠れているのはFreeBSDのみ)。
マーケットプレイスも確認しますが未提供のようです。
念のため東京リージョン以外も確認します。 中国東部 1 (杭州)も中国東部 2 (上海)もマーケットプレイスでのRHELのイメージ提供は確認できませんでした。
日本サイトではまだ Red Hat Enterprise Linux のイメージは提供されていないことが確認できました。 残念。。。
3. RHEL をBYOL できないのか?
パブリックイメージやマーケットプレイスでREHLが提供されていないことはわかりました。 それではBYOL(ライセンスの持ち込み)の可能性について調べてみます。
3.1. Red Hat 社が認定するクラウドプロバイダー
Red Hat さんの公式サイトを確認します。
“Red Hat 認定クラウド & サービスプロバイダー”
https://www.redhat.com/ja/certified-cloud-and-service-providers
“認定プロバイダーを見つける” をクリックします。
Ecosystem に”Red Hat Enterprise Linux” を指定します。
”Alibaba Cloud” がリストされたことが確認出来ます。 画面上のAlibaba Cloud のアイコンをクリックします。
サポート状況の詳細が確認出来ます。 RHEL6.9/6.10/7.4/7.5/7.6/8.0とOpenShiftがCertifedとなっています。
また、Supported Regions が”Global”となっていることが確認出来ます。 国際サイト契約か東京サイト契約かはひとまずおいておいて、東京リージョンもサポートしていると判断出来ます。
一方、Supported Languages は”Chinese”しかありません。 ここでいう言語はRHELの中の話でしょうかね?? この情報だけでは判断がつきません。 国際アカウントで実際にRHEL8を購入し確認します。
マーケットプレイスからRHEL8を選択します。
途中は省略し、以下の内容で購入します。
インスタンスの起動後にSSHでログインします。
ぱっと見のLANGはenですが、一応”$LANG”環境変数も確認します。 “en_US.UTF-8″でした。
ついでに”locale”コマンドも結果も。
この感じですと、Red Hat 社のWebサイトでの”Supprted Languages がChineseのみ”という話はRHELの外の話のようです。Alibaba Cloud or Red Hat のサポートなのか、ライセンスの話なのか。 RHELのサブスクリプションをもっていれば問い合わせて確認するのですが持っていないのでこのサポート言語が中国語の話の調査はここまでとします。
今回の話と直接関係はありませんが、yum で見に行くリポジトリはきちんとAlibaba Cloud 側で準備されていました。 この辺はWindows Server インスタンスのMicrosoft Update と同様の考え方、構成のようです。 なお、Red Hat の場合はライセンス提供の仕様からUpdate Server もあわせてクラウドプロバイダーが提供する必要があるのだと思われます。
3.2. Red Hat Cloud Access
そもそも認定パブリッククラウドプロバイダーでRHELをBYOLする際に必要となるライセンスは何なのか調べてみます。
実際に導入したり、Red Hat 社に確認を取っていない前提で、以下のRed Hat Cloud Access が該当するプログラムのようです。
画面を下のほうにスクロールしていくと、クラウドへ移行できること、また、プロバイダーとして”Alibaba Cloud”も記載されていることが確認できます。
以下のページではRed Hat Cloud Access の利用開始までの手順を確認することが出来ます。
- No.1 は Alibaba Cloud が認定されていることは確認済
- No.2 はCloud Access の資格の確認
- 未使用のRHEL Advanced Platform またはRHELのライセンスが対象で、StandardないしPremiumのSLAも条件
- ライセンスによりクラウド上で利用できるGuest数に違いがある
- No.3 はサブスクリプションをクラウドに移行する話
No.3 を詳細にみていきます。 試しに”Enable and use your own images”をクリックします。
ログインが求められるのでカスタマーポータルにログインします。 今回はサブスクリプションを持っていないアカウントでログインします。
”Register Image”という画面で必要な情報の入力を求められます。 Cloud Provider にAlibaba Cloud を指定し、進めてみようと思いましがこの先には進めませんでした。 サブスクリプションを持っていないからでしょうかね。
4. まとめ
実際に試すことはできなかったのですが、日本サイト契約でもRed Hat Cloud Access プログラムを利用することでRHELのサブスクリプションをBYOLして利用することは出来る可能性があることは確認出来ました。
また、日本サイト契約をメインに利用していてどうしてもRHELを利用したい、サブスクリプションのBYOL(Red Hat Cloud Access)ではなく従量課金で利用したいという場合は、日本サイト契約と国際サイト契約のVPC をExpress Connect または CEN で接続するという考え方もあります。 同じリージョン内であれば無償で2Gbpsの帯域でVPC間を接続するが出来ます。