Windows Virtual Desktop #41 Windows 10 version 2004 を展開する

この記事のWVDは”Windows Virtual Desktop Spring 2020 Release”が対象です。

いつの間にか Windows Virtual Desktop で Windows 10 Enterprise version 2004 が利用できるようになっていました。 さっそく展開し、変更点を確認していきます。

1. Host pool の作成

まずは Host pool を追加します。 Marketplace から進めます。

“Create” をクリックします。

Basics で必要な情報を指定し、

Virtual Machines のImage で “Windows 10 Enterprise mulit-session, Version 2004” を指定できることがわかります。

拡大すると以下の通り。 今回は”Windows 10 Enterprise mulit-session, Version 2004 + Microsoft 365 Apps” を展開することにします。

残りの設定は端折って説明します。 

Workspace は元々ある”bigriver-ws” に紐づけます。

出来上がりました。

作成されたHost pool の状態を確認していきます。 1台のSession Hosts が正常に展開されていることを確認できます。

“Win10-2004-0” というSession hosts が1台、Status は Available です。

Assignments からAzure AD のアカウントを紐づけます。 ここで Add から追加しようとしたら

右の方にズラズラとメッセージが表示されました。 ちょっとすると消えてしまい、コピーペーストすることが出来なかったのですが一部をテキスト化すると

“Experiencing authentication issues. The portal is having issues getting an authentication token.”

とのこと。 Azure Portal 側でAzure AD との認証に何か問題が出ている模様。 とりあえず続けてみます。

結論、問題なく追加出来ました。 一時的な問題だったようです。

リモートデスクトップクライアントから展開した Windows 10 version 2004 にサインインできるかどうか確認します。

今回追加した”Windows10_2004-DAG”を確認出来ます。 接続します。

サインイン出来ました。  

2. 展開したWindows 10 の確認

リモートデスクトップクライアントの接続情報を確認します。 この画面ではローカルOS(手元の物理PC)がWindows 10 Enterprise (18363) として確認出来ますが、Azure 上のWindows 10 の情報は確認できません。 

システムのプロパティを確認します。 versionは “2004” であることが確認できます。

  • Edition は Windows 10 Enterprise for Virtual Desktop
  • Version は 2004
  • OS build は 19041.329

参考程度の”systeminfo”コマンドの結果は以下の通り。 version 情報などは上のシステムのプロパティでも確認出来た情報で特に特筆すべきことはありません。

C:\Users\xxxxxxxx>systeminfo
Host Name: Win10-2004-0
OS Name: Microsoft Windows 10 Enterprise for Virtual Desktops
OS Version: 10.0.19041 N/A Build 19041
OS Manufacturer: Microsoft Corporation
OS Configuration: Member Server
OS Build Type: Multiprocessor Free
Registered Owner: N/A
Registered Organization: N/A
Product ID: 00432-70000-00001-AA101
Original Install Date: 7/18/2020, 7:50:00 AM
System Boot Time: 7/18/2020, 7:51:42 AM
System Manufacturer: Microsoft Corporation
System Model: Virtual Machine
System Type: x64-based PC
Processor(s): 1 Processor(s) Installed.
[01]: Intel64 Family 6 Model 79 Stepping 1 GenuineIntel ~2295 Mhz
BIOS Version: American Megatrends Inc. 090007 , 6/2/2017
Windows Directory: C:\windows
System Directory: C:\windows\system32
Boot Device: \Device\HarddiskVolume1
System Locale: en-us;English (United States)
Input Locale: en-us;English (United States)
Time Zone: (UTC) Coordinated Universal Time
Total Physical Memory: 8,192 MB
Available Physical Memory: 6,037 MB
Virtual Memory: Max Size: 10,112 MB
Virtual Memory: Available: 8,050 MB
Virtual Memory: In Use: 2,062 MB
Page File Location(s): D:\pagefile.sys
Domain: m.bigriver.jp
Logon Server: \adds2019
Hotfix(s): 4 Hotfix(s) Installed.
[01]: KB4552925
[02]: KB4560366
[03]: KB4561600
[04]: KB4557957
Network Card(s): 1 NIC(s) Installed.
[01]: Microsoft Hyper-V Network Adapter
Connection Name: Ethernet 2
DHCP Enabled: Yes
DHCP Server: 168.63.129.16
IP address(es)
[01]: 10.0.0.6
[02]: fe80::4913:f8ee:ac28:b7e8
Hyper-V Requirements: A hypervisor has been detected. Features required for Hyper-V will not be displayed.

Office 含みのImage を展開しているのでOffice アプリケーション、今回はExcel、も確認します。

Version は2004 、Build 12730.20430 です。 

以下は手元の物理PC(OSはWindows 10 Enterprise version 1909)ですが、Officeは”Microsoft Office 365 ProPlus”、バージョンは”1908″です。 サブスクリプションのOffice は基本的に同じバージョンになるのかと思い込んでいました。サブスクリプションのOffice が主流になったせいかOffice のversion に無頓着になっていることに気づかされます。  これはこれでしっかりと調べて整理しておかないといけないなと思いました。

わからないものはMicrosoft Docs を見るのが一番ですが、WVDの仮想のWindows 10 のOfficeのversion 2004 は月次エンタープライズチャネル、手元の物理PCのOffice のversion 1908 は半期エンタープライズチャネル、ということのようです。

おなじマニュアルページの中を見ていくとversion 2004 でも複数のビルドのリリース日が表としてまとめられています。 Marketplace のImage のOffice はBuild 12730.20430 ですので、2020年6月9日リリースのversion 2004 ということがわかります。  バージョンも2003/2004/2005/その他と複数ありますし、Build も複数、内容を把握してリリース管理するのは大変だなぁと。まあサブスクリプションなんできちんと管理するという考えは捨てるべきなんだと思います。

3. Windows 10 version 2004 の新機能の確認

せっかくなのでWindows 10 version 2004 の新機能を見ていきます。

Microsoft Docs の“Windows 10 バージョン2004の新機能 (IT 担当者向け)” を見ていきましょう。

Windows 10 version 2004で追加された新機能でWindows Virtual Desktop 上で簡単に確認出来そうなものを探します。

“SetupDiag” というツールがWindows 10 version 2004 から自動的にインストールされるとのこと。 試してみましょう。

コマンドプロンプトから”SetupDiag”を実行してみるが失敗。

“SetupDiag”ファイルを検索しても見つからない。

この”SetupDiag”を使うことが目的ではないので違う新機能を探します。しかし、手ごろな簡単に確認出来てブログで紹介するのに視覚的にわかりやすい新機能がありません。 本当はCortana あたりが見栄えも良くてよいのですが、Windows Virtual Desktop でのCorana 動作はまだ確認できおらず。 

とりあえずここまでとします。

4. まとめ

あまりまとめることもなく、単純にWindows Virtual Desktop のHost pool で指定するWindows 10 のバージョンに2004 が追加されたということになります。

一方、元々のテーマとは異なりますがOffice はもっとアンテナ張って整理しておかないと大変なことになるなという気づきもありました。 Windows Virtual Desktop でOffice を使わないケースはほぼないと考えます。 パッと思いつくところをあげても以下の検討ポイントがあります。

  • ライセンスの買い方
  • ライセンスを買う場所
  • サポート
  • Officeバージョンの互換性、リリース管理
  • 既存のOffice ライセンスの持ち込み
  • Azure AD へのMicrosoft 365 ライセンスの紐づけ
  • 作りこんだマクロ、Access、業務システムとの都合から昔のOffice をWVDでも使いたいというニーズ

などなど。 アンチパターンも結構あるので注意が必要です。 こういう情報は整理するのに時間と手間がとてもとてもかかるのですが、その割には”XXXのケースではXXXの買い方で100% 問題ありません” と言い切れるまでの情報はそもそもどこにもなかったり、整理した情報の陳腐化もはやかったり、でなかなかうまくいかないものです。 マイクロソフトさんに都度聞くしかないと思いつつ、ある程度は把握しておかないとお客様と会話も出来ませんし本当に悩ましいところです。(Office だけではなくWindows 10 のライセンスやRDS CAL もそうですが)

以上