“VMware: Introducing Alibaba Cloud VMware Solution” のセッション内容を紹介します。 Alibaba Cloud 上で vSphere 環境を構築できるソリューションです。
プロダクト自体は 2020/4/29 に登場。
まず、VMware Cloud のコンセプトとして、すべてのアプリをすべてのクラウドで実行できるようすること、その際に同じツール、同じ手順、同じチームでとのこと。 ここでいうクラウドにはPublic Cloud も Private Cloud もそして Edge も含まれますが、VMware としてはこの仲介者となりたいのかなと。 箪笥をもじった Tanzu でKubernates の対応にも力をいれていますし。
トップのパブリッククラウドベンダーがどうして VMware とパートナーシップを組んでいるのかの話。 確かにAWS も Azure も GCP も VMware Cloud を自社クラウドで実現しています。 ここではその理由を オンプレミス市場のリーダは VMware であること、Site Recovery のようなクラウドへの移行を容易に行えるツールがあること、VMware ではパブリッククラウドと連携する為に必要な様々なツールをすでに備えていることなどをあげています。
アーキテクチャ図。
- Alibaba Cloud 上に vSphere 7 を構成可能
- 複数のリージョンをまたいで NSX、HCX、SRMを利用可能
- Tanzu も利用可能
- 管理系スィート(vRealize XXXX) も使用可能
- VDI の Horizon や認証基盤の Workspace One も利用可能
- オンプレミスIDCとの連携
- Apsara stack上のvSphere との連携
- VMware on 数据中心(データセンタ)との連携
利用可能なリージョン。 中国本土は全リージョン対応、中国本土外だと 香港が対応とのこと。 東京リージョンは未対応のようですが、中国本土で使えることに大きな意味があるかと。 仮想アプライアンスなどで vSphere のみの対応となっているものや、中国本土のデータセンタ上のサーバ群を Alibaba Cloud に移行できるようになります。 日本目線で言えばAlibaba Cloud を日本から契約し日本に居ながらにして中国上に vSphere ベースの仮想データセンタを構築できるということです。
顧客視点の4つのメリット。
- パブリックとマルチクラウドのリーダによるソリューション
- オンデマンドなサービス(特に中国のすべてのリージョンが対応)
- 制限の少ないマイグレーション
- コスト(CapexからOpexへ)
AWSやAzure、GCPも同様のことが出来る中、やはり2番目の中国本土の対応が顧客から見た一番のメリットになるかと。 AWS も Azure も中国本土で使えますが、本土外の AWS や Azure とは別物でネットワークの接続はインターネット経由になります。 Alibaba Cloud は中国本土も本土外も1つの契約で使え、契約は日本で行え、そしてAlibaba Cloud の専用線サービス( CEN など)で中国本土と本土外のリージョンを簡単に接続することが出来ます。
Alibaba Cloud VMware Solution Overview のまとめです。
- Overview
- VMware と Alibaba Cloud は共同で開発しているよ。具体的には X-Dragon ベースのBare Metal に VMware vSphere,NSX,vSAN を実装し、VPCとの接続性も実現
- VMware のソフトウェアと Alibaba Cloud リソースのバンドル
- Alibaba Cloud 上でのシームレスな VMware 利用
- vCenter を利用した管理
- Advantage
- Capex → Opex (VMware ライセンスは subscription)
- VMware のツールで クラウドへ移行可能
- 同じ VMware 環境を local と Cloud 上に実現可能
3つのユースケースの紹介の1つ目。 Disaster Recovery を VMware の SRM で実現可能。 DR Sites にはAlibaba Cloud の9リージョンを指定可能。バックアップ先は Alibaba Cloud OSS を指定可能。
このセッションでは言及されていませんでしが、本当の顧客視点を追求するならマルチクラウドも実現してほしいもの。 AWS も Azure もGCP もAlibaba Cloud もDR Sites に選べると。 とはいいつつそんな需要は少ないとは思います。 vSphere を利用するケースは Enterprise なシステムが多いはずで、1対1、多くても1対2のDR構成になるはずでそこまでマルチクラウドに対応する必然性はなさそうです。 逆にEnterprise で必要となるシステムの安定性を考えると複数のマルチクラウド の IaaS に継続的に対応し続けることは非常に負荷の高いものになります。
2つ目は Data Center Extension。 local のデータセンタのVM をAlibaba Cloud 上でもシームレスに実行できる考えです。 VDI なんかはこのユースケースにすごくはまります。 ライセンス や Latency の都合上、VDI の実行環境として local が優位な場合が多々あります。 一方、local には拡張性が無い(正確にはお金と時間がかかる)弱点があります。 OS や アプリケーションのバージョンアップによる性能要件の変化や、COV-19 起点でリモートワークが急遽求められた際、一時的なリソース需要をパブリッククラウドに逃がせるのは非常にありがたい話です。 DRのバックアップサイトに使えればコスト効果も大きいです(バックアップサイト側のVMは停止しておけばコストダウン。 ただ、Alibaba Cloud は BareMetal 使うと言っているからVMを停止してもコストは変わらないかもしれません)
3つ目のユースケースは Migration to Cloud です。 Cloud Native な Alibaba Cloud の環境と言い方は悪いですが Legacy な実行環境の VMware Solution の環境を両立できることでお客様のクラウド移行の負荷を軽減できるという話です。
Legacy なシステムをまずは VMware Solution 上にリフトし、あとは Alibaba Cloud の中で Cloud Native にシフトしていきましょうと。
15分と短いセッションなので技術的な話は少なく、コンセプトベースでは AWS や Azure 、GCP のVMware Solution と大きな違いはありませんでした。 そんな中でも ”中国本土で VMware を利用したい” というニーズに応えることが出来るのは Alibaba Cloud だけでそれが最もわかりやすい差別化ポイントになります。
以上